外国人技能実習制度とは
発展途上国の若者を技能実習生として受け入れ、技能・技術又は知識を学び、帰国後母国の経済発展を担う人を育てることを目的とした国際協力の為の制度です。
技能実習制度は、従来より「出入国管理及び難民認定法」とその省令を根拠法令として実施されてきましたが、技能実習制度の見直しに伴い、新たに技能実習制度の基本理念を定めた技能実習法とその関連法令が制定されました。
技能実習法に基づく新たな外国人技能実習制度では、技能実習の適正な実施や技能実習生の保護の観点から、監理団体の許可制や技能実習計画の認定制等を新たに導入し、制度の適正化を図る一方、優良な監理団体・実習実施者に対しては実習期間の延長や受入れ人数枠の拡大などの制度の拡充も図られています。
新制度の概要
技能実習の適正な実施 | ①技能実習の基本理念、関係者の責務及び基本方針の策定 ②技能実習計画の認定制 ③実習実施者の届出制 ④監理団体の許可制 ⑤認可法人「外国人技能実習機構」の新設(外国人技能実習機構のホームページ) ⑥事業所管大臣等への協力要請等の規程の整備及び関係行政機関等による地域協議会の設置 |
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技能実習生の保護 | ①人権侵害等に対する罰則等の整備 ②技能実習生からの主務大臣への申告制度の新設 ③技能実習生の相談・通報の窓口の整備 ④実習先変更支援の充実 |
制度の拡充 | ①優良な監理団体・実習実施者での実習期間の延長(3年→5年) ②優良な監理団体・実習実施者における受入れ人数枠の拡大 ③対象職種の拡大(地域限定の職種、企業独自の職種、複数職種の同時実習の措置) |
1.外国人技能実習制度の目的
技能実習制度の目的は、発展途上国の若者を技能実習生として受入れ、技能・技術又は知識を学び帰国後母国の経済発展を担う人づくりを目的としています。
制度の目的・趣旨は1993年に技能実習制度が創設されて以来終始一貫しており、基本理念として、技能実習法には「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」(法第3条第2項)と記されています。
技能実習制度の内容は、外国人の技能実習生が、日本において企業や個人事業主等の実習実施者と雇用関係を結び、出身国において修得が困難な技能等の修得・習熟・熟達を図るものです。期間は最長5年とされ、技能等の修得は、技能実習計画に基づいて行われます。
2.技能実習生受入れの方式
受け入れる方式には、企業単独型と団体監理型の2種類あります。
9割以上が、団体監理型です。 受入れ対象職種の拡大が図られましたので、今後益々増加していく傾向にあります。
企業単独型
日本の企業等(実習実施者)が海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施する方式
団体監理型
事業協同組合や商工会等の営利を目的としない団体(監理団体)が技能実習生を受け入れ、傘下の企業等(実習実施者)で技能実習を実施する方式
- ❶企業単独型:日本の企業等(実習実施者)が海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施する方式
- ❷団体監理型:事業協同組合や商工会等の営利を目的としない団体(監理団体)が技能実習生を受け入れ、傘下の企業等(実習実施者)で技能実習を実施する方式
技能実習生は入国後に、日本語教育や技能実習生の法的保護に必要な知識等についての講習を受けた後、日本の企業等(実習実施者)との雇用関係の下で、実践的な技能等の修得を図ります。
3.技能実習の区分と在留資格
技能実習の区分に応じた在留資格は下表のとおりです。
企業単独型 | 団体監理型 | |
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入国1年目 (技能等を修得) |
第1号企業単独型技能実習 (在留資格「技能実習第1号イ」) |
第1号団体監理型技能実習 (在留資格「技能実習第1号ロ」) |
入国2・3年目 (技能等に習熟) |
第2号企業単独型技能実習 (在留資格「技能実習第2号イ」) |
第2号団体監理型技能実習 (在留資格「技能実習第2号ロ」) |
入国4・5年目 (技能等に熟達) |
第3号企業単独型技能実習 (在留資格「技能実習第3号イ」) |
第3号団体監理型技能実習 (在留資格「技能実習第3号ロ」) |
第1号技能実習から第2号技能実習へ、第2号技能実習から第3号技能実習へそれぞれ移行するためには、技能実習生本人が所定の技能評価試験(2号への移行の場合は学科と実技、3号への移行の場合は実技)合格が必須です。
また、主務省令で第2号技能実習もしくは第3号技能実習に移行が可能な(移行対象職種・作業)が定められています。
なお、第3号技能実習を実施できるのは、主務省令で定められた基準に適合していると認められた、優良な監理団体・実習実施者に限られます。
4.技能実習生の入国から帰国までの流れ
技能実習生の入国から帰国までの流れ
初めて監理団体型で技能実習生を受け入れる場合は、外国人技能実習機構に対し①監理団体の許可申請、②技能実習計画の認定申請、③入国管理局に対し在留資格認定証明書交付申請の順で申請する必要があります。
5.技能実習計画の認定
技能実習を行わせようとする者(実習実施者)は、技能実習計画を作成し、その技能実習計画が適当である旨の認定を受ける必要があり、認定は外国人技能実習機構が行います。
技能実習計画に記載しなければならない事項や申請の際の添付書類は、技能実習法及びその関係法令で規定されています。
技能実習計画は、技能実習生ごとに、第1号、第2号、第3号のそれぞれの区分に応じて、認定を受けなければなりません。特に第3号技能実習計画については、実習実施者が、「技能等の修得等をさせる能力につき高い水準を満たすものとして主務省令で定める基準に適合していること」が必要です。
なお、団体監理型の場合、実習実施者は技能実習計画の作成にあたり、実習監理を受ける監理団体の指導を受ける必要があります。
実習実施者は、認定を受けた技能実習計画に従って技能実習を行わせなければなりません。違反があった場合には、改善命令や認定の取消しの対象になります。
6.実習実施者の届出
実習実施者は、技能実習を開始したときは、遅滞なく、開始した日その他主務省令で定める事項を届け出なければなりません。この届出は、外国人技能実習機構に行います。
7.監理団体の許可
監理事業を行おうとする者は、外国人技能実習機構へ監理団体の許可申請を行い、主務大臣の許可を受けなければなりません。監理団体として満たさなければならない要件は、技能実習法令で定められています。
監理団体の許可には、特定監理事業と一般監理事業の2つの区分があります。特定監理事業の許可を受ければ第1号から第2号まで、一般監理事業の許可を受ければ第1号から第3号までの技能実習に係る監理事業を行うことができます。
区分 | 監理できる技能実習 | 許可の有効期間 |
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特定監理事業 | 技能実習1号、技能実習2号 | 3年又は5年* |
一般監理事業 | 技能実習1号、技能実習2号、技能実習3号 | 5年又は7年* |
*前回許可期間内に改善命令や業務停止命令を受けていない場合
監理団体の主な許可基準は以下のとおりです。(職種によっては事業所管大臣の告示により許可基準が追加・変更される場合があります。)
- ①営利を目的としない法人であること
- 商工会議所・商工会、中小企業団体、職業訓練法人、農業協同組合、漁業協同組合、公益社団法人、公益財団法人等
- ②監理団体の業務の実施の基準(下記Ⅰ〜Ⅳが代表例)に従って事業を適正に行うに足りる能力を有すること
- Ⅰ実習実施者に対する定期監査(頻度は3か月に1回以上、監査は以下の方法によることが必要)
- ア技能実習の実施状況の実地確認
- イ技能実習責任者及び技能実習指導員から報告を受けること
- ウ在籍技能実習生の4分の1以上との面談
- エ実習実施者の事業所における設備の確認及び帳簿書類等の閲覧
- オ技能実習生の宿泊施設等の生活環境の確認
- ③監理事業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有すること
- ④個人情報の適正な管理のため必要な措置を講じていること
- ⑤外部役員又は外部監査の措置を実施していること
- ⑥基準を満たす外国の送出機関と、技能実習生の取次に係る契約を締結していること
- ⑦①〜⑥のほか、監理事業を適正に遂行する能力を保持していること
- 下記を満たさない場合は、監理事業を適正に遂行する能力があるとは判断されません。
- ・監理費は、適正な種類及び額の監理費をあらかじめ用途及び金額を明示したうえで徴収すること(法第28条)
- ・自己の名義をもって、他人に監理事業を行わせてはならないこと(法第38条)
- ・適切な監理責任者が事業所ごとに選任されていること(法第40条)
- ※監理責任者は事業所に所属し、監理責任者の業務を適正に遂行する能力を有する常勤の者でなければなりません。また、過去3年以内に監理責任者に対する養成講習を修了した者でなければなりません(2020年3月末までは経過措置あり)。
- ⑧<一般監理事業の許可を申請する場合>優良要件に適合していること
監理団体の許可申請について(外国人技能実習機構HP「監理団体の皆様へ」)
許可を得ている監理団体リストはこちらをご参照ください(外国人技能実習機構HP「監理団体の検索」)
8.「優良」な実習実施者・監理団体について
実習実施者が第3号技能実習を行うには、外国人技能実習機構への技能実習計画の認定申請の際に「優良要件適合申告書(実習実施者)」を提出し、技能等の修得等をさせる能力につき高い水準を満たすものとして主務省令で定める基準に適合している実習実施者として、外国人技能実習機構から優良認定を受ける必要があります。
また、監理団体が第3号技能実習の実習監理を行うには、外国人技能実習機構への監理団体の許可申請の際に「優良要件適合申告書(監理団体)」を提出し、技能実習の実施状況の監査その他の業務を遂行する能力につき高い水準を満たす監理団体として、主務大臣から「一般監理事業」の区分での団体許可を受ける必要があります。
- *「優良要件適合申告書」における合計得点が満点の6割以上であれば、優良な実習実施者・監理団体の基準に適合することになります。
- * 団体監理型で第3号技能実習を行う場合は、監理団体と実習実施者が共に上記「優良」である必要があります。
9.技能実習生の人数枠
実習実施者が受け入れる技能実習生については上限数が定められています。
■【1】団体監理型の人数枠
第1号(1年間) | 第2号(2年間) | 優良基準適合者 | |||
---|---|---|---|---|---|
第1号(1年間) | 第2号(2年間) | 第3号(2年間) | |||
基本人数枠 | 基本人数枠の 2倍 |
基本人数枠の 2倍 |
基本人数枠の 4倍 |
基本人数枠の 6倍 |
|
実習実施者の 常勤職員総数 |
技能実習生の人数 | ||||
301人以上 | 常勤職員総数の20分の1 | ||||
201人〜300人 | 15人 | ||||
101人〜200人 | 10人 | ||||
51人〜100人 | 6人 | ||||
41人〜50人 | 5人 | ||||
31人〜40人 | 4人 | ||||
30人以下 | 3人 |
■【2】企業単独型の人数枠
第1号(1年間) | 第2号(2年間) | 優良基準適合者 | ||
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第1号(1年間) | 第2号(2年間) | 第3号(2年間) | ||
常勤職員総数の 20分の1 |
常勤職員総数の 10分の1 |
常勤職員総数の 10分の1 |
常勤職員総数の 5分の1 |
常勤職員総数の 10分の3 |
- 注)法務大臣及び厚生労働大臣が継続的で安定的な実習を行わせる体制を有すると認める企業の場合は、【1】の表が適用され、団体監理型の人数枠と同じになります。
- ○常勤職員数には、技能実習生(1号、2号及び3号)は含まれません。
- ○企業単独型、団体監理型ともに、下記の人数を超えることはできません。
- 1号実習生:常勤職員の総数
- 2号実習生:常勤職員数の総数の2倍
- 3号実習生:常勤職員数の総数の3倍
- ○特有の事情のある職種(介護職種等)については、事業所管大臣が定める告示で定められる人数になります。
10.養成講習の受講
技能実習法では、①監理団体において監理事業を行う事業所ごとに選任する『監理責任者』、②監理団体が監理事業を適切に運営するために設置する『指定外部役員』又は『外部監査人』、③実習実施者において技能実習を行わせる事業所ごとに選任する『技能実習責任者』については、いずれも3年ごとに、主務大臣が適当と認めて告示した講習機関によって実施される講習(以下「養成講習」)を受講しなければならないと定められています。
また、監理団体の『監理責任者以外の監査を担当する職員』や、実習実施者における『技能実習指導員』及び『生活指導員』については、養成講習の受講は義務ではありませんが、これらの者に対し3年ごとに養成講習を受講させることが、優良な監理団体又は優良な実習実施者と判断する要件の1つとなっており、受講が推奨されています。
送出し国による送出機関の認定
技能実習生の選抜には、現地の事情に精通している送出機関が重要な役割を担っています。新制度では、技能実習制度の適正な運用を図るために、監理団体の許可に当たり、外国の送出機関について、関係法令の要件に適合することを求めることとされています。
また、新制度においては、日本国政府と送出し国政府との間で二国間取決めを順次作成することされ、各送出し国政府において自国の送出機関の適格性を個別に審査し、適正な送出機関のみを認定する仕組みを構築することとなっています。
この取決めは順次行われる予定ですが、当該送出し国との間で二国間取決めが作成され、当該取決めに基づく制度に移行するまでの間は、同国政府の公的機関からの送出機関に対する推薦状が必要です。
当該取決めに基づく制度に移行した後からは、当該送出し国からの送り出しが認められるのは、送出し国政府が認定した送出機関のみとなります。